糸巻文庫

古代人の声をカタチにして、あなたに届けます

保水力

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親戚がみかん農家を営んでおり

毎年、秋口と真冬に2度ほど

玄関がふさがるほどの大きな箱いっぱいにみかんが届く。

 

一生懸命食べるのだけど、

飽きたり

酸味の強い品種に当たると子どもが食べなかったりで

部屋のオブジェになってる期間も正直長い。

 

今日、ぽつんと器に放置されていた、先シーズンものの最後の一個を食べた。

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皮はガサガサ、しみもできていて

ちょっと縮んだ、名前もわからないみかん。

 

だけど内心、長く寝かせて甘みを凝縮できるかな?という実験の狙いもあった。

 

狙いは的中。

薄皮の中からは驚くほどみずみずしい果肉が出てきた。

ぴかぴかのつやつや、おまけに味が抜群によかった。

 

動物のなめし革のようにしなやかな、みかんの皮。

樹を遠く離れて何ヶ月も経っても、腐ることなく水分を保つ、天才的な実のはたらき。

感動しながら最後の一房までいただいた。

 

 

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大量のみかんとの付き合いが辛く、

見た目が古くなってきたものを破棄していた頃もあったけれども

 

2018年、西日本豪雨の大打撃を受けた年に届いた一箱が、私のみかんへの向き合い方を変えた。

 

しわしわになっても、皮をむいて中を見る。

 

ちゃんと食べられるどころか、甘さが濃くなっておいしく感じられることを知った。

 

5月を目前にして食べた、季節外れのみかんのこと。

今日という日に清涼感を運んでくれた、やさしい酸味のことを思わず記録している。